テントやタープなど防水製品には寿命がある
テントやタープなどは化繊だから一生もの、と思っていたけれど間違いでした。防水製品には寿命があります。
加水分解で粉を吹いていると思われるグランドシート |
シームシーリングが劣化して剥がれかけている |
加水分解とは
簡単に言えば、合成樹脂のたぐいが湿気によって劣化することを加水分解というようです。山の世界では数年履いた登山靴のソールがもろくなって剥がれることが知られていて、たまに登山道にソールが落ちているのを見ることがあります。
そして、なんとテントやタープにも加水分解の問題があるということをつい最近知りました。
テントやタープの場合には、裏面にポリウレタンによる防水コーティングがしてあり、それが加水分解することによりベタベタになってしまうということです。
防水コーティングが分解してしまうので、防水性も損なわれてしまうようです。
テントとタープの劣化について
モンベル ステラリッジ3
当時も雨がフライに染み込むので撥水スプレーを使っていました。今にして思えば、このとき既に加水分解が顕在化していたことになります。
何故かインナーテントの底部分はそれほどベタツキもないのでまだ取ってあります。
スノーピーク ランドブリーズ4 LX
スノーピーク HDタープ”シールド”・ヘキサ(L)Proセット
スノーピーク リビングシェル
スノーピーク アメニティドームS
傾向
インナーの方が劣化が少ないのはインナーを内側に巻いていたせいかもしれません。その分湿気にさらされないせいかと。
対策
私はテントやタープには寿命があると割り切ってもう高価なものは買わないことにしました。(私は年何回というペースなので)
加水分解してしまったものを洗浄と撥水剤を使って再生させている方もいます。
https://campdaisuki.blog.fc2.com/blog-entry-3534.html
手についたベトベトは水洗いでもベタベタしなくなる程度には落ちます。手がキュッキュッとするのでビオレで洗うと完全に落ちます。ということはテントやタープも中性洗剤で洗えば落ちるのかもしれません。
落ちただけだと防水性が失われているので、撥水剤、防水剤を使って耐水性を上げるということになるようです。撥水は水をはじくだけ、防水は水を通さない代わりに通気性も損なわれる、という違いです。
ステラリッジの経験では撥水スプレーでもフライに染み込まなくなるので効果がありました。縫い目には念入りに吹きました。
問題はインナーテントのボトムで、こちらは天気やサイトの状態によってはどっぷりと水に浸かる事もあるので防水剤とシームシーリングが必要ではないかと思います。
ポリウレタンを使わない製品
ネットを検索すると、そもそもポリウレタンを使っていない製品もあります。コットン系
コットンもしくはコットンと化繊の混紡を使いポリウレタンコーティングをしないもの。コットン系は物量が半端なさそうです。次の動画を見ると、地面においてある機材の量に圧倒されます。
アスガルド12.6の重量は21kgです。これで濡れたら一体どんな重さになるのか。
化繊のテントでさえ撤収時に乾かせるかどうかは時間と日差しによります。濡れたコットンテントは一体どれだけかかるのか疑問です。
雨の日の土サイトでの撤収も大変そうです。地面に置けばドロで汚れます。化繊の場合、テーブルの上を使って畳むという手もありますが、あの物量では…
シリコンコーティング
次のサイトではヒルバーグのテントはポリウレタンを使っていないと書かれています。https://camphack.nap-camp.com/3618
しかし、そもそもの価格がいずれも十数万円と凄まじいです。
http://www.hilleberg.jp/product/tent/4person/#tag=.showall
また、開放できるメッシュ部分がなさそうで、フライが地面についているため開放感や通風性は乏しく、オートキャンプでリラックスするのには不向きでしょう。
4人用と書いてありますが、幅は210cm程度のようで山岳テントのスペックです。オートキャンプでは一人最低60センチは欲しいので三人しか寝られないと思ったほうが良いでしょう。
また、フロアー処理のところにはしっかりポリウレタン三層コートと書かれています。
加水分解機材の再生について
シューズやテント類以外の加水分解
アウトドア用品
それはグレゴリーの製品で、確かに防水性能がありました。どうやらポリウレタンだったようです。
レインウェアも例外ではなさそうです。ゴアテックス自体は問題なさそうですが、他に使っている部品がポリウレタンの場合があるようです。
http://mukokuseki-ch.com/2017/10/23/post-2516/
防水製品には寿命があると思っていたほうが良さそうです。長く使うつもりのものは防水性能がないものを選ぶのも一つかもしれません。
先日購入したノースフェイスのダッフルバッグも防水性能があったので大丈夫だろうかと思い、調べてみたところ、1000D TPEファブリックラミネート(ポリエステル100%)、840Dナイロン、としか書いてありません。
一見ポリウレタンは使っていないように見えます。でも、ラミネートというのが引っかかります。ポリエステルと何を貼り合わせているのでしょうか?
電気製品
(2021/8/7追記 電気製品の場合には加水分解ではなくブリーディング現象のようです)
アウトドア製品ではありませんが、先日モニターの色を図る測色機を久々に持ったらゴムっぽい触感の部分がべとべとになっていました… Amazonのレビューを見ても同様にべたべたになったと書いている人がいます。
HPのミニタワーPC p6220jpというモデルの足がゴムみたいな素材だったのですが、気が付いたらベトベトになって原形をとどめないくらいに溶けていました。
どこかでアルコールで落ちると書いている人がいたので、いずれも台所のアルコールを使ってウェットティッシュで拭いてみたところ確かに問題ないレベルに落ちました。
他にはアンテナケーブル、プレステのコントローラーのスティック、さらにはテレビの電源ケーブルまで加水分解しています。
こう書くとどれだけ湿ったところに住んでいるんだと思われるかもしれませんが、部屋には24時間換気機能がついていて、トイレと風呂の換気扇は常に稼働しています。部屋の陽当たりも南と東と西にそれぞれ窓がある2階で良好です。
スノーピークのヘキサタープに無数の穴
2020/7/6、無印良品カンパーニャ嬬恋に行ったところ、夜にタープの複数個所から雨漏りしているのに気が付きました。雨漏りと言っても水が水滴になっているだけで、ポタポタ垂れるという程ではありませんでした。ベタベタしてなかったのにやっぱり加水分解していたのか? と思い、その晩は寝ました。
翌朝雨漏りしていたところを下から見ていたところ、ごく小さい明るい部分があります。えっ!? これもしかして穴? よく見ると、あちらこちら、特にタープの折り目に沿ってアリの行列のように無数の穴が開いています。そしてそこから白糸の滝のように水が漏れてタープの下側を伝っています…
傷むからタープやテントを同じところで折りたたんではいけないというのは知識としては知っていました。しかし、そう簡単に劣化するわけあるまいと思って、今までは簡単だから折り目のところで畳んでいました。本当にダメだったんですね…
ヘキサタープは古いけれど、使用回数自体は10回くらいではないかと思います。
雨漏りはシームシーラーで直せるかもしれないけれど、穴が開いているのは強度不足の可能性があります。強風で折り目から裂けたなんて言ったら目も当てられません。とりあえずスノーピークに修理の問い合わせをしてみました。
ブリーディング現象
スタパ齋藤のApple野郎を読んでいたところ、『合成樹脂の表面がベタベタしてくる現象の多くは「ブリーディング(bleeding)」や「ブリードアウト(bleedout)」と呼ばれる現象らしい』という説明が。
ブリーディングは合成樹脂に含まれる、可塑剤、着色剤、油などがしみだしてくる現象だそうです。なるほど!!
何でもかんでもべたつきは加水分解だと思っていましたが、そうではありませんでした。
大まかに言って合成樹脂そのものがもろくなるなどするのは加水分解で、本体はしっかりしているけれどべた付いてくるのがブリーディングなのかもしれません。
勉強になりました。
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