社会に出てから勉強が必要だったと気が付く

高校を選ぶときに、電子回路に興味があったので工業高校の電子科に行きたいと思っていました。しかし、父曰く、専門的なことは大学に行ってから学んだ方がいいから、普通科の高校に進んだ方がいい、という事でした。

父が教員だったこともあり、それに従い普通科高校に行ってはみたものの、さっぱり勉強が面白くありません。これ一体何のためにやるの?、という内容でやる気が全く出ませんでした。その結果学年最下位の地位を欲しいがままにしていました。

そして、なんとか高校を卒業して会社に入って思い知ったのは勉強が大事だという事でした。


国語

プログラミングの仕事を始めたところ、プログラムだけ作っていればいいわけではなく、どういうプログラムを作ったのかという説明を書類として残しておく必要がありました。ところが私は作文が大嫌いで、夏休みの感想文さえサボっていたくらいなので、全く書けませんでした。

仕方なく、マニュアル等を参考にして、みようみまねで書いていました。その後、野口悠紀雄の「超」勉強法を読んで「文」ってこういう風に書くものだったんだと思いました。

国語を真面目にやっておけばこんな苦労はなかったし、古文や漢文も読むことができたでしょう。


数学

CADという、設計に使うアプリは数学の塊で、プログラミングには数学の知識が必須です。サイン、コサインなどの三角関数はもちろん、ベクトル、行列といった代数幾何がマストです。

しかし、例によって高校の授業を全くと言っていいほど聞いていなかった私は最初さっぱりわかりませんでした。仕方なく書店に行って高校の参考書を購入し、参考書を見ながらプログラミングをする羽目になりました。

円や四角などの単純な図形は代数幾何の知識でプログラミングが可能です。しかし、ペンツールで書いたような自由曲線をどう扱うのかは当時不明でした。しばらく前に、Illustratorのプログラミングを解説しているページを読んで、自由曲線を扱うには微分が必要だったという事をようやく知りました。

代数幾何や、微分積分をきちんとやっておけば、CADのプログラミングでもっと良い仕事をできたと思います。


英語

とにかく暗記系の教科が大嫌いでした。国語の文法や歴史が代表的で、英語ももちろん嫌いでした。

というわけで、全く英語を勉強せずに社会に出たわけですが、私がプログラミングをしていたコンピューターのOSや言語のマニュアルは古いものしか翻訳されていませんでした。そのため、最新の知識を得るのは容易ではありませんでした。

その後、外資系のサポート部門で働くことになり、面接の際にマネージャーに、英語が心配ですというと、大丈夫ですよ中学レベルの英語だからと言われ、内心、その中学レベルの英語が問題なんだけど、と思ったけれど口には出せませんでした。

サポートの問い合わせ記録は各国のサポートセンターにより共有されていたため、英語で書く必要がありました。顧客から問い合わせがあった時は、まずその過去ログに類似の問い合わせがなかったかを検索します。そのため、英語が読めないと仕事になりませんでした。

ログに見つからない場合には開発部門に問い合わせますが、相手は海外だったので英語でメールを書く必要があります。当時はChatGPTはもちろんGoogle翻訳などもないので、一から書く必要がありました。

仕方なく書店で、一からやり直す英語、みたいな薄い本を買ってきて、通勤時の電車の中で熟読しました。"on" が「上に乗る」ではなく接するという意味だというのを知ったり、関係代名詞ってこういうものだったのかと思ったりしました。

まじめに英語を勉強しておけば、楽に仕事ができたでしょうし、海外旅行も容易だったと思います。


理科、社会

幸いにして、理科や社会を勉強してなくて困った、という事は私の場合はありませんでした。しかし、今振り返ってみると、物理の電磁気や波動をしっかりやっておけばオーディオ屋をやっていた頃の製品の理解は容易だったと思います。

以前読んだ記事では、ゲーム会社に取材に行った記者が、CGで物が落ちるシーンを見て、リアルですねと驚くと、重力加速度を使っているだけです、高校の物理で習ったでしょう、と言われて沈黙しているシーンがありました。こういう風に役に立つ場合もあるのかと思いました。

仕事とは関係ありませんが、Netflixでヴィンランドサーガを見た時に、民族の移動に驚き、世界史をまじめにやっておけば良かったかもしれないと思いました。世界の理解が大幅に違ったと思います。先日、昔購入して放置してあった「手にとるように世界史がわかる本」を手に取ってみたところ、面白くて一気に読んでしまいました。ドイツ語と英語が近い理由が分かった気がしました。


目標を持って勉強する

というわけで、私の場合、高校の勉強は社会に出てからとても役立つもので、まじめに勉強しておかなかったことをとても後悔しました。過去の自分に教えてやりたいです。

本当は、子供には将来どんな仕事に就きたいのかを、もっと早い時期から考えさせ、その仕事にはどういう知識が必要なのかを認識させるべきなんだろうと思います。

どこの高校や大学に行くかではなく、何の仕事をするのかが最大の問題だと思います。

また、社会に出たら、生活するのにお金が必要で、どういう給料があれば、どういう生活ができるのかも学校で教えるべきなんだろうと思います。遊んでいたらどうなるのか、アリとキリギリスのごとくしっかりと説明する必要があります。親任せにした場合は、親次第で得られる知識が大幅に違ってしまうので不公平です。

最近つくづく思うのは、よく言われるように、やはり目標を持っている人は強いという事です。考えてみれば当たり前の話なのですが、目標があれば辛くてもそれに向かって頑張ることができるけれど、目標が無くて辛い思いをしたらすぐに逃げてしまう事でしょう。

まず持つべきものは目標だし、目標を持ったらそれをかなえるにはどういう知識やスキルが必要かを考える事だろうと思います。


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